ヒューマンドラマ

映画『37セカンズ』生まれたときに息をしていなかった時間

映画『37セカンズ』は、脳性麻痺の障害を抱える女性の自立する姿が描かれています。

本作は第69回ベルリン国際映画祭にて2冠を果たし、ハリウッドからHIKARI監督へのオファーが殺到しているとのこと。

  • 説得力のある演技が見たい
  • 障害者の性に興味がある
  • 人情味溢れる人が好き

映画『37セカンズ』概要

あらすじ

生まれたときに37秒間息をしていなかったことで身体に障害を抱えるユマ(佳山明)は、容姿端麗で絶大な人気を誇る漫画家の親友・サヤカ(萩原みのり)のゴーストライターとしてひっそりと社会に存在している。

映画『37セカンズ』サヤカ役の萩原みのり

母親・恭子(神野三鈴)は娘の世話をすることが生き甲斐のため過保護に接してしまう。

そんな生活に息苦しさを感じたユマは、とある出版社に成人漫画原稿を持ち込む。

映画『37セカンズ』貴田ユマ役の佳山明と貴田恭子役の神野三鈴

しかし女性編集長から、セックスの経験をしてから漫画を描くよう一蹴されてしまう。

キャスト

貴田ユマ(佳山明)
ゴーストライターとして連載を持っている。
貴田恭子(神野三鈴)
ユマの母親でユマに対して過保護になる。
俊哉(大東駿介)
介護福祉士でユマの冒険を応援している。
舞(渡辺真起子)
デリヘル嬢で障害を持つ常連客がいる。
サヤカ(萩原みのり)
ユマの親友で絶大な人気を誇る漫画家。
ポン引き(渋川清彦)
ユマから頼まれて男を斡旋する。

作品情報

『37セカンズ』(2019年)
出演:佳山明, 神野三鈴, 大東駿介
監督 / 脚本:HIKARI

映画『37セカンズ』感想

映画『37セカンズ』貴田ユマ役の佳山明と俊哉役の大東駿介

見どころ3選

  • 一般公募で射止めた主役の座
  • フルヌードの臨場感溢れる入浴
  • ありがちな流れにならない展開

一般公募のオーディションで100人の中から見事に主役の座を射止めた佳山明は、実際に脳性麻痺のため車いす生活を送っています。

映画『37セカンズ』貴田ユマ役の佳山明と貴田恭子役の神野三鈴

健常者が障害者の役を演じることに疑問を抱いていたHIKARI監督の意向で、女優は起用せず一般から募ったとのこと。

監督の思惑通り佳山明がスクリーンに映し出された瞬間に、演技では到底たどり着けないであろう独特の存在感(か細い声や内面から出る奥ゆかしさ)に度肝を抜かれました。

さらに驚いたのが、フルヌードで挑む親子入浴シーン。神野三鈴演じる母親に服や下着を脱がされる姿はまさに体当たりの演技です。

映画『37セカンズ』フルヌードの入浴シーン

冒頭5分ほど(体感)で、すっかり心を奪われてしまいました。監督も役者もすごい。

映画『37セカンズ』貴田ユマ役の佳山明

しかしながらここまではまだ序章で、物語の本筋は佳山明演じるユマの自立。

成人漫画の原稿を出版社に持ち込んだところ「セックスをしてから出直してこい」と一蹴されてしまったことから、経験を積むための冒険が始まります。※ラブホで濡れ場あり

映画『37セカンズ』貴田ユマ役の佳山明

そこでこれまでとは違う世界の人たちと出会っていくのですが、ありがちな流れにならない展開がお見事。じわじわと予想を裏切ってくるため最後の最後まで先が読めません。

大東駿介演じる俊哉の包容力に惚れない人はいないはず。ラーメンを「あ~ん」してくるところなんて最高にあざといです(好き)。

映画『37セカンズ』貴田ユマ役の佳山明と俊哉役の大東駿介

また、渡辺真起子演じるデリヘル嬢・舞の言葉が非常に印象に残りました。

「障害者でも好きな人と結ばれることはできるか」という問いに「障害があろうがなかろうが、あなた次第よ」と答えます。

映画『37セカンズ』舞役の渡辺真起子

主演の佳山明自身も一般公募のオーディションで主役の座を射止めているわけですから、メッセージの説得力がハンパない。

どんな状況でも腐らずに前に進もうとする勇気や度胸の大切さを再認識させられました。

©37 Seconds filmpartners

映画『37セカンズ』視聴方法

動画配信サービス各社配信情報

本ページの情報は2020年8月時点のものです。
最新の配信状況は各サービスにてご確認ください。

配信状況サービス名
×Amazonプライム・ビデオ
×Hulu
Netflix
×U-NEXT
×Paravi
×dTV
×FODプレミアム

ABOUT ME
ヤナマリ
記事内《敬称略》で失礼します。映画メディア「シネマトゥデイ」にて2年間ほどコラムと漫画の連載をしていました。このブログでは濡れ場の多いR指定映画やドラマの見どころを真剣に解説しています。